外気の冷たい風にやられ、指先が真っ赤になっていく。
マフラーに顔をうずめながら、オシャレなカフェの扉を開いた。
「いらっしゃいませ」
リンリンとベルが来客を知らせると同時に、現れた店員さん。
背の低い、可愛らしい女の子だった。
「お一人様ですか?」
笑顔で訊ねられ、ちょっと戸惑いつつも返答。
「シュンはいますか?」
一瞬、彼女は驚いた表情になる。
そりゃあ、いきなり客にこんなこと言われたら誰だってびっくりするよね。
「えっと…?」
今度は困惑した表情になって、あたしの顔を見ながら首を傾げる。
だから、もう一度訊ねようと口を開きかけた時
「おまえ、何やってんだよ」
探していた当人がこちらに向かって歩いてきた。
服装は、私服。
バイトの制服じゃないから、もうあがるのかもしれない。
「シュンに───」
…会いたくて。
そう伝えようとした言葉は、すぐそばから聞こえた声に遮られる。
「あの、先輩、教えてほしいことがあるんですけど」


