翔Side


ほんとは拒否権ねぇえから

とか言いたかった。

でも……将来ともにしようとしてるやつに

拒否権ねぇえから。なんていったら
ダメになっちゃうんじゃねぇかなって


「結婚………」


「10秒数える間に、答え出して?

もしいいなら俺に触れて、ダメなら、目開ける時に俺の前から居なくなってて?」


「ん……わかった」


涙目の陽菜……

もしかしたら
これがおまえを見る最後かもしれない。


そんなことを思いながら目を閉じた。


「10、きゅー……っ」

驚いて、思わず数える声が止まる。


目を開いて、その唇に当たるのが何かを確かめた。


それに気づいたキミは、
恥ずかしそうに俺から離れる。


「はえーよ」


「ゴメン…」


「答えは?」


「よろしく、お願いしますっ」


「任せろよ…(笑)」


俺は陽菜を抱き寄せた。

「翔……ありがとう…っ」


やっぱり、陽菜が好きだと思った。


誰よりも、自分よりも大事なもの。