「っ!何?あれ!?」


ガラスケースに見えたのは、泣きながら手首を何度も何度も切りつける少女だった。


「・・・見てお分かりになりませんか?あの少女は、こうしてお客様が来るたびに手首を切ったり首を絞めたりして、"死にたい"と言う意思を表しているのです」


私は臨音さんの言葉に衝撃を受けた。


「そんな・・・。そんなのって!そこまでして死にたいの?この子は!?」


「えぇ、そうです。こうして、誰かに殺してもらおうとするのです。・・・きっと、今から結香様にも言うでしょうね」


その言葉の直後、ガラスケースがガタガタと音を立てながら揺れ、私の顔を見てこういった。


「ねぇ・・・お願い。私を殺して!!自分じゃ死ねないの!!だから殺して!!!」


私は少女の悲痛の叫びを素直に聞き入れることは出来なかった。

・・・私にこの子は殺せない!


「臨音さん。こういう場合ってどうするの?」


私は自分じゃどうしようも無くなり、臨音さんに助けを求めた。

すると臨音さんはまるで私がこういうことを分かっているかのように言った。


「大丈夫です。私にお任せください」


その言葉の直ぐ後に、ガラスケースの中に臨音さんが現れた。


「え?臨音さん何処にいたの?」


「今はそれどころじゃありません」


そういうと、臨音さんは自分の着ている着物の懐から拳銃を出し、少女の頭に突きつけた。


「ちょ!何するのよ!!」


「御安心ください。次のお客様がいらっしゃるまで、動きを止めておくだけです。それに、この少女は絶対に死ねません」


そういって、にっこりと笑うと拳銃の引き金を引いた----・・・