"死にたがり少女"が抱えていた訳を知った私は、何をするわけでもなく、その場に立ち尽くしていた。


きっと彼女は、彼のことが好きになったんだと思う。

でも、彼女はそのことに気づかず、彼は死んでしまった・・・。


その出来事があまりにもショックすぎて、"死にたい"という気持ちが余計に強くなったのかな?


なるほど・・・。だからこのガラスケースに入っている彼女は、たくさんの道具で死のうとしている姿なんだ・・・。


でも、彼女は死ねなかった。

死ぬことが、彼女の身体が許さなかった。


あの後、彼女はどうなったんだろう?

ここに居るってことは、臨音さんに助けられたの?


私は不思議に思い、近くでこの光景を見ているであろう臨音さんに尋ねた。


「・・・ねぇ、結局この子はどうなったの?」


すると臨音さんは、やはり聞こえていたらしくクスッ、と少し笑い声を交えながら答えた。


「気になりますか?この少女が、この後どうなったのか・・・」


「・・・知りたい」


「分かりました。では、お答えしましょう。ですがその前に、二つほど質問を」


「分かった。答えるから、教えて」


「では、まず一つ目の質問を。結香様は、この少女を買いますか?買いませんか?」


・・・また例の質問か。

私は、そう思いながらも答えた。

少し迷ったけれど。


「買いたくは無いけど・・・でも、助けてあげたい」


「・・・そうですか。では、二つ目の質問を。何故結香様は泣いているのですか?」


え?泣いている?・・・どうして私は泣いているんだろう?


そうか!きっと、可哀相に思えたんだ。この少女が。


「分からないけど・・・でもきっと、私はこの子が可哀相に思えたんだと思う」


「結香様はお優しい方ですね。ですが、この少女に向かって簡単に"助けてあげたい"なんて仰らないでください」


臨音さんの言葉のすぐ後に、死にたがり少女の居たガラスケースから不気味な声が聞こえた。