「結香様が、私に名前を教えてくださったのですよ?」
「・・・・・・」
何を言っているの?臨音さんは・・・
私が、名前を教えた?
訳わかんない。
「これで、結香様の質問にはお答えしました。
では、館の中へどうぞ」
臨音さんは扉を開けたまま立っている。
早く入れ、という事なのだろうか?
でも私は、臨音さんの言った事が気になって中に入ろうとしない。
そんな私に痺れを切らしたのか臨音さんは、
「・・・私が結香様にお話したことは、全てこの館に入ればお分かりになることです」
満面の笑みでこう言った。
「・・・・・・」
本当に?本当に分かるの?
私は臨音さんの言葉に素直に従い、無言で館の中に向かって歩き出した。
私が歩き出したとき、臨音さんの顔に怪しい笑みが見えた気がするのは、私の気のせい?


