「まずは、私の名前から。
私の名前は臨音(リンネ)です。
以後、お見知りおきを」
と言いながら、臨音と名乗る女の人は、丁寧にお辞儀をした。
別に名前なんか聞いてないのに・・・
「次の質問に答えます。
何故私が、結香様のことを待っていたか?でしたよね」
臨音さんが私に首を傾げながら問いかけてきた。
「そうですけど・・・
あの、早く教えてください」
あまりにも焦らすので、私は我慢ができずに言ってやった。
「まぁまぁ、そんなに焦らずに。
・・・結香様は、私の顔に見覚えはありませんか?」
はぁ?何を言っているのだろうか?
臨音さんの顔に見覚えがある?
私は、自分の頭の中の記憶を探ったが、そんな“人”は見覚えが無かった。
「すみませんが・・・私は臨音さんと初めて出会いましたよね?」
「そうですか。覚えていませんか・・・
私は、結香様と会ったことがありますよ?」
「え?それは、本当ですか?」
「本当です。・・・では、次の質問にお答えします。
私が結香様の名前を知っているわけ。
・・・本当に何も覚えていないんですね・・・」
最後の臨音さんの言葉は小さくて聞こえなかったが、私と臨音さんは昔会ったことがありらしい。
・・・私は全然覚えていないのだけど。


