"俺の方こそごめん"
自分が言った言葉が頭の中に反響する。
チラッと麻耶を見る。麻耶は黙ったまま、何かを考えているように手を顎に添えていた。
微妙な空気が流れる。
その光景を気にもしない空は晴々と澄んでいる。
二匹の鳥が仲良さそうに寄り添って空を泳いでいく。
「ねぇ、覚えてる?」
また先に麻耶はゆっくりと言葉をつむいでいく。
「小さい頃……こんな空の日、あんな風に鳥が寄り添って飛んでいくの。その時、智輝が言ったこと」
「俺が言ったこと?」
「そう、智輝が言ったこと覚えてない?」
首を傾げて麻耶を見る智輝に麻耶は悪戯っぽく笑う。