外から見れば一際目立つ車。


話す者もいなければBGMもない車の中。


聞こえるのは車が動く音とキレいな鼻歌。


そんな鼻歌を静かに聴いている執事の宮本。


鼻歌が一息ついた時宮本が口を開けた。



「お嬢様は歌が本当にお上手ですね」


「……そう?ありがとう」



あたしは桜庭華音。


世界でも有名な桜庭財閥の一人娘。


永徳学園高校に通う高校2年。


自分で言うのもなんだけど不自由な暮らしはしてない。


お金もあるし顔にも特に負傷はない。