運命の、その場所で



―ガシッ


「ちょっと待って。」

掴まれた右手…


「…離して。」

もう彼を見ない。

見れば巻き込まれるから…きっと。



「返事は?」

「…返事?」

「そう返事!オレのナンパの返事?」



男はみんなチャライ男。

優しい顔して…女を遊ぶんでしょ?



私は…絶対そんな男について行かない。




「切腹。」

「へ?」

「かっこいい死に方。」


乱暴に彼の手を振りほどいて私は走って逃げた。




もう、彼は知らない人。