運命の、その場所で


「うぉ~!かっこいい☆」

「そう?よかった!」


ナチにぴったりの赤と黒色のナイキの時計。

ブランドの時計も考えたけど、とても手が届く範囲じゃなくて迷っていたらこの時計に出会った。

すぐにナチだ!と、ピーンって来て購入したのだ。


「かっこいい?」

まるでスーパーマンが変身するみたいなポーズでそう聞いてきた。

「うん。最高だね~。」

「やった!」

ナチは喜んでいるのか、満面の笑みのまま何度も時計を確認していた。


「あ!そうだ、俺もちゃんとプレゼント用意してきた。」

そういって、ポケットから小さな箱を取り出した。



私はそれをすぐ受け取って開けてみた。


「!!」


喜びのあまり、言葉に出来ない感情が涙を誘った。

「ペアリング。」


ナチはそんな私の姿を横に、そう言って指輪を箱から取り指につけてくれた。


「本当は迷ったんだけど…でも、やっぱり大学に行くようになってからあんまり会えなくなっちゃったから…。」


すこし寂しそうなナチの声…