運命の、その場所で



「え?」


顔を上げると、ナチの顔は真っ赤に染まっていた。


だけど、そんな顔のなか視線はまっすぐに私をみてくれてる。



「だから、ボタン受け取れよ。」

またナチは握っていた手を広げた。

「でも、それ第三でしょ?」

「第三はポケットの中。これは、第二ボタン。」

「でもさっき、誰かに渡して来たんじゃ…」


何度も何度も目をこすった

だけど、そこにはちゃんとボタンが存在してる


「あげるかよ!好きでもないやつに。」

ナチは私の右手を引っ張ってその手の平にボタンを置きながら話し続ける。


「好きな人にあげるためにボタン隠してたから…。
受け取ってくれんんだろ?」




「…うん。」

私はギュっとボタンを握り締めた。