「いった~ぃ!女に暴力ふるなんて~!」
頭に両手を当てておおげさに痛いと訴えてみたけど、
ヒカルは何故か心配そうな顔をしていた。
「さっさといわねーと…後で後悔したって知らねーぞ。」
一直線に見てくれるその視線を、私は必死にそらした。
さっきまで隣にいたナチは、後輩に呼び出されてどこかに行ってしまった。
「後悔なんて…するよーなコト…」
「はぁ~…。」
ため息をもらして、自分の制服の第二ボタンを触って話を続ける
「アイツが帰ってきたとき、第二ボタンないかもな~。」
「なんで!?」
「お前が遅いから。」
ヒカルはクスっと笑って、大きく手を上げた。
「ナーチ!ここだ~!!」
ナチはヒカルに手を振り替えして、笑いながらこっちに走ってくる。
「ヒカルは…なんでもお見通しなんだね。」
「お前たちが見えやすいだけだよ。」
「言ってふられたらヒカルのせいだから」
「その時は俺がもらってやるよ。」

