運命の、その場所で



「ナチ?」

「…なに?」


聞きたかった・・・

言いたかった


私のこと好きですか?って…

だけど、言えなかった。

トビラの開く音とともに、気持ちは胸の奥へと閉じこもってしまったから。


―ドン!


「ユキ?」

一睡もしてないのか、ママの顔は青白くいつも濃い化粧なのにスッピン状態だった。

「ユキ!ごめん…ママね…ママ…」

そのままママは私に抱きついて、泣きながらごめんを何度も繰り返し言ってくれた。



「ごめんね?ごめん…よかった…ごめんね。」



ママの言葉が、また涙をそそる。

さっきナチが拭いてくれたのに…