運命の、その場所で



「朝になったら、一緒に家に帰ろう。」

「なんで?」


なんで?

あの家に居場所がないってちゃんと言ったよね?

死ねって言われたって…言ったよね?

なのに、なのにあの家に帰ろうって…



「ユキがあの家から居なくなったら、お兄ちゃんやお父さん達が可哀そうだろ?」

可哀そう?

「ユキは、お父さんとお母さんの間に産まれたのは確かなんだから…
ユキが家を出たら、誰がお兄ちゃんやお父さんののことを守るの?
このまま家を出れば、ユキはあの家を捨てたってコトになるんだよ?
そうすれば、お兄ちゃんやお父さんも…捨てたってことだよ?」


ナチは私よりはるかに大人だ。

そんなことずっと昔からわかってた。



「お前が死んだら、誰がお兄ちゃんやお父さんのお墓参りいくの?」



ママが元に戻ってくれるわけなんかないのは、
ナチも分かってくれたのかな?


ナチは必死に私に生きるように説得してくれた