運命の、その場所で



目を閉じれば、いつでも笑ってるお兄ちゃんが「ユキ」って呼んでくれるのを思い出す。


「私が小学1年のときに、お兄ちゃん死んだの。
病名はよくわかんないんだけど…重い病気だったらしい。」

「・・・そうなんだ。」

「パパはそれから2年後、交通事故で死んだの。
ママすっごく泣いてた…
なのに、今はもう新しい彼氏がいるの…
別に構わないよ…新しいパパができたって恋愛はママの自由だから。」

そうママの自由…

子供の私がそこまで規制する必要も、権利もない。


「だけど、パパやお兄ちゃんを忘れることだけは許せない。
私たちは家族なのに…死んだって…家族なんだもん。」



ママは、こないだのパパの命日を忘れていた。
仕事だとか言って、家には一日居なかった。

私は結局お墓参りを一人で行った…

昔は、月に一回も行ってたのに…
周りのお墓に負けないくらい綺麗にしてたのはママなのに…

花を枯らしたことだってなかったのに…


周りと変わらないくらい…そこには過ぎてしまった人たちって感じで…お墓がある感じがした