運命の、その場所で




わかってる。


最近…ママは、誰かと会ってること。


パパが死んだとき、あんなに泣いてたのに…

時間って怖い。


人間の気持ちや思い出を奪っていくの?




ママにとって、もうお兄ちゃんは…誰か以下になったの?





外には積もった雪が私の足をふらつかせた。

そんなに言うほど積もってはいないけど、踏むたびに
"ザクザク"と音を立てる。



「さむ~い。」


バス停に続く一本道に、足跡はなかった。



そしてナチも、バス停には立っていない。




メールも届かない。




この不安の中、包みこんでくれるのは雪だけ。