運命の、その場所で


―…・・・・

『ユキ?お兄ちゃん、もうすぐ死んじゃうんだ。』

『死ぬって??』

『お星様になるんだよ。』

『いーな!お兄ちゃんがお星様ならユキはお月様になる。』

『なに言ってるんだ。ユキはここにいろ。
お兄ちゃん、お空で見守ってるから。
もうこけても泣くんじゃないぞ?
怖い犬がいたら隠れるんだ!もー、お兄ちゃん助けてあげれないからな。』

『大丈夫だよ~!ユキ、強いもーん。』

小学1年生の私の手より中学生のおにいちゃんの手は、大きくて…暖かかった。


その手でいつもエライエライって、頭を撫で撫でしてくれるの。


『ユキ、お兄ちゃんのことすき?』

『うん。お兄ちゃんダイスキ!』


ダイスキだった。

この世の中で、お兄ちゃんだけがダイスキだった―






バッ!



ベッドから起き上がると、張り詰めた寒さが体全身を襲った。


「…ぃちゃん」