運命の、その場所で

そう言いながら差し出されたのは…

「カイロ」

「今日、用事で行けないから渡してくれって言われた。ついでに、家まで送れだってさ…。」

私はヒカルの話に耳を傾けながらカイロを手に取った。



あったかい…


反対側を見るとサインペンで絵とメッセージが書かれていた。


『ナチカイロ!
俺の愛のあたたかさ!(笑』


ちょっと乱雑な字…

"愛"って文字だけやたら大きい。


それにネコを書いたのかな?
クマにも見える…


「プ…」

思わず笑いがこぼれた。


だって、ナチが書いてくれたんだと思うと笑える。

それにこの絵…下手すぎる!!

「ハハハ。ありがとう!」

「うん、じゃー、帰ろう。」

ヒカルは手をポケットに入れて歩き出した。

「うん。」