霙。

神崎 霙。

それが俺の名前。
俺とか言ってるけどバリバリの女の子。子に突っ込んだら負け。

中高と+数年不良生活満喫。

結局、足洗ったの、22歳くらいな気がする。

そんな元ヤンな過去を隠して…いるつもりがもう周りにはバレバレで些かどうでもよくなりつつ有る26歳ってどうよ。

彼氏も居ない訳で…もう色々アウト。

出来る友達みんな年下。
出会いなんて転がってなんかいやしない。

神崎 霙。
26歳独身。
職業クリエーター。
趣味現実逃避。

人生オワタ。

某太宰じゃないが正に人間失格の烙印をバッチリ押された訳で、もう何か…色々オワタ。

妹?居る居る。爆ぜろって言いたくなる程リア充。
中学時代からの彼氏はアタシの後輩。
もう兎に角甘々いちゃこらの往年バカップルで、かれこれ8年くらいの付き合いなんじゃ無かろうか。
果てろリア充。

このままでは姉より先に結婚されてしまう。

併し俺も色々考えた訳。

二十代で結婚出来なかったら一生結婚しない。って決めちゃった訳。

「霙ー、邪魔するぜ」

返事も待たず部屋に入って来たのは幼馴染みのあっちゃん。同じくクリエーター仲間だ。

「あっちゃん、男の子紹介して!!」

「は?」

開口一番のこの台詞に流石のあっちゃんも驚いたらしい。
暫く考えた後、嫌と言われた。

「何でやねん!」
「お前さぁ、恋愛したいなら先ずは取り巻きをどうにかしろよ…俺がイヤミ言われんだろ」

あっちゃんの言う取り巻きとは、高校生時代から可愛がってた後輩達の事だ。

彼女がちゃんと居るにも関わらず、何かって言うと割り込んでくる。

「白川財閥の御曹司で手を打っておけ」

あっちゃんの冷たい言葉。
今のでHP半分削られた。

「圭一は論外。彼奴モテ過ぎて面倒だからって理由だけで俺を彼女的なポジションに持って行こうとするんだぜ?」

白川 圭一。
超俺様男。
世の中金次第と思ってそうな駄目な奴。
三歳年下で、オッカネモチだった祖母の友人のオッカネモチなお婆様のお孫さんとして出会ったのが始まり。
だが、併し。
あんなに可愛かった筈の圭一も、彼が中学に上がって再会する頃には傍若無人ないけ好かない野郎に成り下がっていた。