翌朝





「ねぇねぇ。

悠紀子って人いたじゃない」


「え?いた?」


「ん?いたような」


「私もっ、いたような、って感じぃ」


「が、
どうしたの?」


「犯されたんだって」

「犯された!?」


「へぇー犯されたのぉー?」

「誰に?」

「さぁ~。昨日って。
もう会社、来ないんじゃない?」

「え、来てないの?
全然気付かなかった」


「来てないみたいねっ
いるのかいないのかわかんないから
いいんじゃない?」


「そうねぇ」


「残業押し付けられなくなったのがっ
残念だけどっ」

「ほんとォー」



オフィスでは、

女たちが あざ笑う








― 許せない…



…恨んでやる…

…恨んでやる…

…ゆるさない… ―






悠紀子は、


自宅で



自分の部屋で毛布に埋もれひとり




壁に向かって

繰り返す





そして、




取り付かれたように




紅い私書箱に





佐々見の名を送った






【佐々見 利郎】 送信…







【送信しました

願いが叶うと…
いいですね】






悠紀子は、携帯画面を見つめて






叩き付けた ―――