恵都に頼られ嬉しい反面、黒兄としま兄の顔を思い浮かべれば

胸の中でうずまく感情は、かげろうのようにぐらぐらと音もなく揺れた。


「疲れた?」

いつの間にか、恵都と歩調がずれて

あたし達の間には数メートルの距離が出来ていた。

「おいで」

恵都はあたしに手招きすると、急いで走りよったあたしを

そのまま、抱き上げた。