恋する猫は、月の下~花の名のキミ~

「あの、よろしく…恵都…」


恵都の手をいつまでも離せなくて

握りしめたままのあたしの手を

恵都は強く握り返した。

それから、なつかしい柔らかな笑顔で


「よろしく、花名」


優しく、ささやいた。


あたしの中で、小さな願いが

咲き急ぐつぼみのように、ふくらんでいく。