恋する猫は、月の下~花の名のキミ~

「僕の名前は恵都」

よろしく、と差し出された恵都の手は

長い指がそろった綺麗な形をしていた。


その手を、少し小さいあたしの手で、そっと握ってみた。

暖かい。

春の日だまりに似たやわらかな暖かさ。


離れたら、すぐにまた求めたくなる

切ない温度。


この手を

離したくない。