恋する猫は、月の下~花の名のキミ~

「泣かないで、大丈夫だから」

彼があたしを抱きしめ、きつく腕をしめつけた。

きゅーっと心地よくしめつけられた体に

あたしの心は、魔法をかけられたみたいに、穏やかに落ち着いていく。


「思い出すまで、僕がずっと一緒にいるよ」

彼の言葉は、あたしの胸のずっと奥深くまで届いた。

そして、その優しい響きは、いつまでも消えなかった。