恋する猫は、月の下~母さんの昔話~

清汰をかかえ込むよう細い両腕を巻きつけ

柔らかな頬を、清汰のぬれた頬にすり寄せました。

「リク、さん…?」

驚いた清汰が、リクを優しく離し、瞳をのぞきこむと

リクの澄んだ水色の目が、波打つ海岸のように揺れていて

清汰は、その美しく潤んだ瞳に言葉を失い、息を飲むばかりでした。