『イャンクック』は臆病なモンスターだ。
『ドスランポス』をリーダーに据えた『ランポス』の群れの餌食になることも珍しくなく、大型モンスターに属してはいるが、戦闘力はあまり高くない。
捕食する側よりも、むしろ捕食される側の生き物なのだ。
――全ての生命体は、各々が置かれた環境に適した姿へと、悠久の時を経て変化を遂げて来た。
そう、進化だ。
そしてそれは、モンスターとて例外ではない。
火山に棲息する『バサルモス』は、岩石を模した姿へと進化した。
水中に棲息する『ガノトトス』は、速く泳ぐ為に背ビレが発達した。
そして、常に敵を警戒しながら生活しなければならない『イャンクック』は、巨大な【怪鳥の耳】を持つよう、進化を遂げたのだ。
顔面を、輪郭を覆うように生えているその大きな【怪鳥の耳】は、どんな微細な音をも聞き逃さない。
生きる為に特化した能力、『イャンクック』が生きる為に得た武器、と言ってもいいだろう。
だか、何事も過ぎたるは及ばざるが如し。
『イャンクック』が生きる為に得たその能力が、今、怪鳥の命を縮めることとなってしまう。

