隙だらけのニトロに襲い掛かる怪鳥の【巨大なクチバシ】。
「〜〜、!」
咄嗟の判断で回避が間に合わないとみなしたニトロの行動は……
「うおおおぉぉ!!」
相打ち覚悟の反撃だった。
どうせ間に合わないのならば、同じダメージを受けるのならば、せめて一撃をお見舞いしようというわけだ。
少しでも勝利に近づくであろう選択肢を追求した際の、ニトロの苦肉の決断。
そして、この一見したらやけっぱちとも取れる、ニトロの勇敢かつ合理的な行動は、傍観を決め込んでいた一人の男の心を動かした。
――それは、あまりにも速かった。
弾丸を込め、ボウガンを構え、照準を合わせ、トリガーを引くまでの動作、そして、放たれた2発の弾丸の弾速。
それら全てが、規格外の速さだった。
ニトロが回避不可能と断じた、『イャンクック』の攻撃が彼の身体に届くまでの僅かな時間。
その瞬きのような短時間に、ヒューズ・ヒューストン、彼が放った2発の弾丸は、正確に怪鳥の両耳に着弾した。
ヒュ ドン!!
サイレンサーによって発射音こそ消されていたが、弾丸が飛ぶ音、そして、着弾する音、それら全てが全くの同時。
2発の弾丸を全く同時に撃ち放つ、ヒューズの驚異の早撃ちが、ニトロの危機を救った。

