モンスターハンター“敬憧の背中”

 
ニトロの大剣が怪鳥を刻む。

振り下ろし、薙ぎ払い、そして斬り上げる。

自分は一度も攻撃を受けず、一方的に攻撃を与え続ける。

計算通りに順調に、ニトロはパーフェクトに戦いを運んでいた。

だが、このまま何事もなく終わる程、モンスターハンターというものは甘い職業ではない。

“それ”は、ニトロが『イャンクック』に浴びせ掛けた斬撃の数がちょうど13を数えた時に起こった。

『クェーッ!!』

甲高い鳴き声を上げながら、怪鳥が小刻みに飛び跳ねる。

バタバタと翼をはためかせ、暴れる。

「チッ……キレやがった」

ニトロには聞こえなかったが、ヒューズは舌打ちと共にそう吐き捨てた。

大型モンスターは体力が減ると“キレる”、そして、キレたモンスターは総じて戦闘力が高くなる。

大型モンスターは“キレる”ことによって、より重く、より速く、そして、より強くなるのだ。

『イャンクック』の場合は攻撃力と俊敏性に補正がかかる。

攻撃の威力が上がり、しかもそれは間断ない。

今まで隙であったものが隙でなくなり――ニトロは、目測を誤った。

「ぐはぁっ!」

『イャンクック』のパニック走りに巻き込まれ、ゴロゴロと大地を転がるニトロ。

立ち位置も悪くはなく、100%偶然だったが、ニトロは不運にも壁際に追い詰められた。

壁際で攻撃を受けるのは危険だ、後ろに吹っ飛ぶこともできないので、無防備な状態で攻撃を受け続ける羽目になり、最悪、戦闘不能に追い込まれてしまう。