《ブレイズブレイド》が切り裂いたのは、『イャンクック』の腹部の肉だった。
本当は頭部に当てるつもりだったのだが……ニトロの身長、キングサイズの『イャンクック』、そして火炎液を吐いた体勢、という三つのファクターが災いし、大剣は頭まで届かなかったのである。
剣を振り下ろした勢いのまま、大地に叩き付けた大剣を軸にして、ニトロは前転で『イャンクック』の股の間をくぐり抜けた。
(大剣に手数は必要ない!
当てたら即逃げる、ヒット&アウェイ戦法だ!)
頭に過(よ)ぎる教官の言葉、それに今度は無言で頷きながら、立ち上がり様大剣を背に仕舞い、走り、距離を取った。
『イャンクック』の攻撃がギリギリで届かない間合い。
僅かでも隙を見付けたら直ぐさま切り掛かれる距離、大型モンスターと戦う時の、理想的な間合いだ。
ニトロが攻撃後すぐに大剣を仕舞ったのにも意味がある。
超重量武器である大剣を腕に持つと、その重さからどうしても移動スピードが落ちる。
機動力を下がることは、大型モンスターと戦う際は致命的だ。
また、腕の筋肉が疲労してしまい、肝心な時に剣を振るえない、といった事態に陥ることも考えられる。
だから、攻撃時以外は大剣を仕舞うというニトロの行動は、恐ろしく正しい選択なのだ。

