少年がそう言い放った後、一瞬の静寂、そして、高らかな笑いがこだました。

先程までのようなヒソヒソとしたものではなく、少年本人にも隠さない、公な笑いだ。

「………なんか面白いことあったの?」

キョトンとした表情で、少年は不思議そうに受付嬢にそう聞く。

「おまえだ!おまえ!
おまえが笑われてんの」

少年の問いに答えたのは受付嬢ではなく、ギルドにいたハンターの一人だった。

「俺が?
なんで?」

少年がそう聞き返すと、周囲のハンター達はまた高らかと笑い、少年の問いに答えたハンターは肩を竦めた。

「なぁ坊や、一体ここがどこだかわかってんのか?」

「クエストを受ける場所だろ?」

「ああそうだな、間違っちゃいねぇよ、間違っちゃいねぇ
確かに、ここはクエストを受ける場所だ
だがな坊や、ここは!街のギルドなんだよ!」

「………?」

「わかんねぇか?
村の酒場に来るようなチンケなクエストじゃねぇ、パーティー組んでやっとこなせるような、きっついクエストだらけなんだよ!ここは!
オメェみてぇにインナー一丁で一人しかいない奴が来る場所じゃねぇんだよ!」

「………はぁ」

少年はポカンと口を開け、合点がいかないのか、それとも言われたことが理解できないのか、なんとも気のない間の抜けた返事をした。

「ただでさえ無茶だっつうのに、ましてや飛竜と戦りてぇだぁ?
そら笑われるっつうの!
いいか!
新米ハンターは新米らしく、大人しくキノコでも集めてな!」