クスクスと、ギルド内のあちこちで忍び笑いの音がする。

そのきっかけはついさっき現れたあの少年、己が身の丈以上の大剣を背負い、あろうことか全く防具を付けていない、つまりはインナー一丁の姿なのだ。

強大なモンスターと戦うハンターにとって、防具は必要不可欠なもの、インナー姿でギルドに現れた少年が、滑稽だと笑われるのは無理からぬ事だろう。

髪は耳が隠れる程の長さで、手入れ等一切していないのだろう、ボサボサだ。

顔付きはまだ幼く、大きな黒い瞳、キリッと調った形の鼻、まるで少女のように上品な唇、それらのパーツが中性的な顔を組み立てている。

身長は決して大きくはなく、体格もまた大きくはない、小柄だ。

大剣を背負っているというよりは、大剣に背負われている感じで、明らかに体格と武器が合っていない。

そのアンバランスさが、少年の滑稽さに拍車を掛け、更に周囲のハンター達の笑いを誘った。

しかして少年本人は、周囲の反応等どこ吹く風で、全く気にしていない。

あくまでも自分のペースで少年は、キョロキョロと辺りを見回した後、受付嬢の元へ歩いて行き…

「飛竜と戦いたいんだ
…そうだな、強ければ強い程いいな!」

なんの迷いもなく、少年はそう言い放った。