「そうかな?あはは、あたし影薄いのかも…」 「……お前、なんで泣いてる?」 悲しそうに笑う女の目からは次々と涙がこぼれていた。 その涙に俺はドキッとした。 「あ、何でもないの。何でも…。急に泣いちゃってごめん。ありがと。じゃ…」 そう早口に言うと女は俺の横を通り過ぎた。 パシッ 「っ!?」 きっとそれは無意識だったんだと思う。 俺は彼女の腕をつかんでいた。