不意に感じた寒さに
身を震わせて
雪乃は目を覚ました


「…寒…。」


そうポツリとつぶやくと
足元に控えていたマリモが
雪乃に身をよせる


「温かい。」


マリモの高い体温に身をゆだねて
雪乃はまた
厚手の毛布の中に戻った



首都カイルから
クリスの治めるハジェンズに戻ってきて
数か月


雪乃はクリスの正妃になるべく
毎日教育に追われ
忙しい日々を過ごしている


そして

季節も廻り

二季しかないこの世界で
もっとも寒いとされる
一カ月に突入していた