吐く息に乗せて
言いきった後


沈黙が二人を支配した


指輪を見つめたまま
何も言わない愛梨


指輪を差し出したまま
どうする事も出来ない俺



…もしかして…

俺…振られた…?



嫌な考えがよぎった時


そっと
震える手が
指輪を握る俺の手に添えられた


ハンバーグみたいにふわふわで
白い小さな両手が
俺の手を包む



「…よ、喜んで…。

結…婚…します。」


そして
長い沈黙の後


小さな小さな
蚊の鳴くような声が
返ってきた


それは

初めて会った時のように
小さくて
か細い声だったけど


今の俺には
何よりも愛おしくて
大好きな声だった