オレが小山と仲良くなるのに時間はあまりかからなかった。男と女でも人間というのは根本的に変わらないのである。初めは、からかいの言葉そして趣味の一致、もとより男っぽい小山は男友達として扱っても違和感はなかった。

「なぁ小山、そんなん着て暑くないのか」
「暑くはない……」

 素っ気ない受け答えだが、進歩したとは思う。初めは何に対しても反応してはくれなかったから。

「坂田こそ、んなに勉強して頭痛くならないの」
「別に、勉強好きだし」

 オレはふと、ノートを取る手を止めた。そして、また書き始める。

「小山はやらなすぎ、どの授業でも寝てるだろ」
「ウチは良いんだよ。天才だから」

 そういう問題かよと、オレはノート整理に没頭する。ノートの所々に出てくる赤や青のペンのマーク……赤と青、オレの頭の中には鮮明にあの色が浮かんでいた。気づかない内に指は動くのをやめている。

「おい、坂田どうしたんだよ」

 不思議そうに小山が聞いてくる。……気が付けば、

「……うなじ……」