「小山、安心するのはいいが、まずは、この問題を解いてからにしろ」

 ビクッと小山の肩がふるえた。オレには見えなかったが、おそらく小山は目を大きく開いて無言のうちに驚いていたのだろう。その時、教室が笑い声で埋まった。小山と同じように寝てた奴も含め。生徒というのは、現金なものだな。
 結局その後、小山が寝ていたのに関わらず、すらすらと問題を解いた事に教師が悔しがったせいで、授業はまともに進まずに終わってしまい、ノートといってもあまり進まず、オレは一人小山を起こすときに見たあの色を何度も思い出していた。