嘘偽りの愛しい体温-Ⅱ-



「故意的に捨てたんじゃなかったんですね」


「まさか!あの時は本当に生活が苦しくて…貴女の着替え一つ買うのに精一杯だったから……貴女をちゃんと見て貰えて、貴女が幸せになれるなら…それで良いと思った」


「…そうですか」


「彼には感謝してる。貴女に会わせて貰えなかったけど…こんなに立派に育ててくれたんだもの。本当に感謝してる」


「………っ…ごめんなさい…また…連絡します…っ…」


「里桜ちゃんっ!?」



涙を浮かべながら話す女性を見て胸が締め付けられ、思わず喫茶店を飛び出してしまった。