嘘偽りの愛しい体温-Ⅱ-



「あの人は、世間体の目を気にして貴女を引き取ると言って来たわ」


「……………」


「勿論渡したくなかった。だけど、両親から勘当されてる私は周りを頼れず経済的にも苦しくて…裁判で勝つ自信がなかったの」



…裁判。私の親権を巡っての裁判の事よね。父親は裁判に掛けようとしたのか



「裁判沙汰にさえしなければ、時が来たら貴女をちゃんと私の元へ返してくれると言ったからそれを鵜呑みにした」


「父親が嘘を付いたの?初めから返すつもりなんて、なかったんですか?」


「多分ね。会いに行っても会わせて貰えなかったから…」



…そんな事情があったんだ。