嘘偽りの愛しい体温-Ⅱ-



「待って!里桜ちゃん!」



女性の声に少なくとも耳を傾ける気はあるのか、里桜は女性に背を向けたままの状態で足を止めた



「…貴女と離れてから…毎日辛くて……貴女を忘れた事は一度もなかった…」


「…ごめんなさい。そんな風に言われても、実感湧かなくて…よく…わかりません」


「そうよね。あの…もし良かったら……此処へ電話をくれないかしら。勿論、無理にとは言わないです…出来ればで大丈夫だから…」



母親と名乗る女性は、携帯番号を綴ったメモ用紙を里桜へと差し出す


里桜は直ぐには受け取らず、少ししてからそれを受け取った。