嘘偽りの愛しい体温-Ⅱ-



「……貴女の産みの母です」


「………え」



産みの母?


里桜の母親は他界してるが…産みの母親と言われ即座に否定出来ない程、似てるのも事実だな


里桜は瞬きさえせず、女性をじっと見つめたまま口を閉ざしてしまった


言葉が見つからないか



「急に出て来てごめんなさい。信じて貰えないのは重々承知しています…」


「私の両親は……今はもうこの世にいません」


「知ってます。親戚の方から連絡を貰ったから…」



里桜は返事に困る中、俺の手を握ったままこの場から逃げる様に足早に歩き始めた。