男は女の頬っぺたを抓り
右側の口角を上げ悪戯に
微笑んだ。

「あ・く・ま(悪魔)」

そう言って頬を抓られたまま
見上げる、女の少し不機嫌な
視線に微笑む男。

「ああ、どうせ・・・」

抓る手を解いた男は、その頬に
優しく手を翳し、その唇に唇を
じれったいぐらい、ゆっくりと
近づける。

やっと、触れ合う唇。

あま~い、口づけ。

洩れる息。

離れた唇は、言う。

「・・・

 俺は

 天使じゃないさ」