「見せてあげてもいいんじゃ
 ないですか?

 どうせ、3月にはそこら中
 に張り巡らされるだろうし」

「見せて」

「ユラ・・・」

テオさんから取り上げた写真に
は、赤い着物を来たソラの片方
の袖は破られ、黒いトライバル
模様が浮かび上がる。

その腕に抱かれキスをする青色
の和服姿の彼女

その彼女の手に触れ、違う方向
を見つめている、白い軍服姿の
テオさん。

そこは、大正浪漫・・・

ロマンチックな世界。

映画のワンシーンみたい。

素敵すぎて言葉も出ない。

私から写真を取り上げたのは
ソラ。

「おまえな、こんな写真持ち
 歩いて監督やうちの社長に
 叱られても知らねえぞ」

『ああ、それ
 誰にも見せんなよ

 詳細は映画の宣伝
 まで内緒だから

 おまえにだけ
 特別に見せてやる』