白緑蝶"ever since【続】

『今日は、焼き餃子
 
 ソラ、いいところに来た
 お水かけてくれる?』

フライパンの上からお水を
注ぐと、ジュ~っと餃子が
焼ける音がする。

『ユラ、蓋?』

『待って、あった』

蓋をして、笑い合う二人。
 
「おまえと過ごして俺は知った
  
 音は無理やり作るものじゃ
 なく、生まれるものだと」

ソラは立ち尽くす私の手をとり
人差し指以外の指をたたんで
握る。

そして私の人差し指はテーブル
を叩き、ソラに寄ってリズムを
刻む。

「ほら、もう音が生まれた

 俺には、おまえが必要だ」

その手を貴方は解く。

「それでも、おまえが別れると
 言うのなら俺は未練たらしい
 事は何も言わないし、何も
 しない

 俺は、おまえを追わない」