「誰かに愛する人を取られたく
 ないと思えるほど、ヒワは
 彼を愛してる

 残念だが、おまえの入る
 余地はない、諦めろ」

真澄の頭を撫でる、兄、穂澄。

「やめてくれよ、慰めんな」

二人の視線を背中に受ける
私の足取りは重い。

『結婚、避けてたのに
 したくなった理由って
 
 何?』

避けてたわけじゃない

ただ、怖かっただけなの・・・

『何で断るのか?

 自分でもわかんない』

本当は知ってる。

知ってて、あれこれと理由を
つけた。

父親に捨てられたこと・・・

そんなこと関係ない。

ただ、私みたいな・・・