はじめは風邪のような症状だった。
発熱と咳が続いていた。

ある時、横になっているqの姿を見て
驚く。
ひどく痩せているのだ。

「お前、飯は?食べてるのか?」

qはだるそうに手を額にあててうなるだけだった。

一ヶ月近くそんな状態だったので医者を呼んだ。


医者はqの胸に聴診器をあてたり、口の中や喉を診た。
それから手足を診た。
qの手足にはところどころにあざのようなものができて変色していた。

診察を終えると、医者は俺を階下まで呼びつけた。

「やせ病だ。もう、長くはないね。」

「どのくらいだ?」

「2、3ケ月かもしれないな。もうわしらの出番ではないよ。
この後、ひどい肺炎を起こすだろう。それから臓腑にも腫れ物ができるだろう。
そうなると患者は苦しむ。皮膚も崩れてくる。」

そんなことになろうとは、思っていなかった。
医者は帰っていった。
俺はしばらく身動きがとれなかった。

部屋にもどろうにも、いったいどんな顔をすればいい?

アパートメントの下から部屋まで上がる階段をこんなに長く感じたことは無かった。

部屋に入るとqが俺を見た。
すぐに俺の動揺が伝わった。

「俺、死ぬの?」

俺はベッドに駆け寄って、qをがっしりと抱いた。

「q、生きろよ」


qを失うことに対して、ものすごい恐怖を感じた。
それは受け入れがたいものだった。

そうだ、qは死なせない。