さらにqは俺の首をそっとつかんだ。
qの口の中に俺の舌が吸い込まれた。
血の味がした。
口の中を切っている。

qの口の中の感触は、決まってあの女を思い起こさせた。

qが俺の摩羅を口に含んだ。
もう、何も抗う理由はないように思え、
そのまま身体を預けた。

その間中、数年前の、洞窟での出来事がよみがえった。

俺が射精すると、それまで激しく上下に動いていたqの頭が、
がっくりと垂れ下がり、動かなくなった。

「おい」

気絶か?このままでは窒息する。
俺は片手でqの頭をつかんで揺さぶった。

むせながら、qが精液を吐き出した。

「あー。」

qは正体をとりもどし、呼吸を整える。


二人でベッドに横になった。
qは俺の体に背中を着け、俺の腕を自分の体にからませた。

「サダクローには好きな女がいるんだね。」

言葉がでなかった。
こいつ、なんで知ってるんだ?

「でも、それでいいんだ。それがサダクローだから。」

俺は、犬でもなでるように、qの頭をなでた。

「お前は、こうやって、抱かれたいだけだったんだよな。」

qが俺の手を握った。

不思議と、俺の胸の中があたたかくなった。




翌日、鏡を見て焦った。
qに殴られた眼の周りが青くなっていた。

小屋に行って、クラウンに化粧をたのんだ。
このころになると、支配人は、不具者を全員くびにして、
人気のある芸人を集めていた。
もはや見世物小屋ではなくサーカスといってよかった。

「サダクローさん、ずいぶんうでっぷしの強い女に殴られましたねえ。
色男は大変だあ。」

「はは。女ならまだましだったんだがな。」

それから俺は仕事のときに道化師の舞台化粧をするようになった。