サトシは驚きの声を上げ、それから、黙り込んだ。 気まずい沈黙が続き、部屋の中には旅番組のレポーターの明るい声だけが響いていた。 「ごめん、実は……」 ようやく観念したようにサトシが口を開き、真実を語りだした。 サトシが東北大学出身というのは嘘だった。 しかし彼は、別の地方の国立大学出身だとういうのだ。 「どうしてそんな嘘をついたの?」 「東北大出身の方が、友里とつり合い取れるかなと思って」 ……サトシの出身大学がどこだろうと、そんなこと関係ないのに。