どう見ても、いきなりの波にさらわれていったと思うんだけど……
気づかなかったの?
私がのんきに泳いでいるとでも思ったの?
この時、私は確信した。
これから先も、私の有事のとき、サトシは絶対に助けてくれないに違いない――
ため息をつきつつ、私は、私が今どういう状況であったかを説明した。
その説明を聞き終えると、サトシはこんな声を上げた。
「えーっ、友里は今、おぼれかけていたのか!? それは危なかったなぁ! でも、要するに、俺が友里の命の恩人ってわけか」
「はぁ!? なんでサトシが命の恩人なの? サトシは助けてくれなかったよね?」
「だってさぁ……」
サトシがまた、独自の理論を展開する。


