翌日、ペンションのプールで講習を受け、船でダイビングスポットへ行くことになった。
ウェットスーツというものを初めて着込む。
「船の出発時刻までまだ少し時間があるので、待っていてください」
インストラクターのお兄さんの言葉を聞いたサトシが、待っている間、海で泳いでいようと誘ってきた。
サトシの提案でシュノーケルのマスクを持つと、私たちは宿泊しているペンションの裏手に広がる浜辺に向かった。
「うわー、二人で独占だな!」
その浜辺には誰もおらず、まるで貸切りのような状態だった。
雲一つない空に君臨する太陽の光はまぶしくて。
青い海には、二人きり。
それは絵に描いたような、夢のシチュエーション。
しかし海に入ると、なぜそこに人がいないのか、その理由があっさりと判明した。


