私がおしぼりをぐっと握りしめたとき、彼が「それはないよ」ときっぱり言い切った。 「え?」 「うちの妻が、そんな嘘をつくわけがない」 「そんなこと、どうして分かるんですか」 「そんなの分かるさ!」 彼は軽く笑ったあと、真剣な声でこう続けた。 「彼女は、人を陥れるような嘘をつく人じゃない」 彼の言葉は、私の中にするりと入ってきて。 柔らかく温かく、心を包み込む。